劇  評

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「炎の舞姫‥‥長嶺 ヤス子」

●五木 寛之(作家)
 一期一会の踊り。長嶺ヤス子は「ジプシー」を超えていたし、スペイン人を超え、さらに日本人をも超えていた。彼女はインターナショナルなものを心の中に持っていたのだと思う。

●澤地 久江(作家)
 生々しい傷口から血をしたたらせているような女心が凝縮。踊りも恋も永遠の命を持ち得ない、うつろなものである。踊り続け、恋をし続けて、ついに近づき得なかった<天井の火>を手にするべく、長嶺さんは、業を背負い、たった一人の道を歩き続ける。裸足のその指から鮮やかな血が流れても、もはや振り返ろうとする気配がない。

●荻原 葉子(作家)
 長嶺さんは一歩も、同じところに踏み止まることの出来ない人なのだ。危険をおかしながら、時には命と引き換えにその危険な網を渡る人だった。足元には激流が流れ、燃える網はいつ焼け落ちるか分からず、「生と死」の瀬戸際を渡っていく。危険に身を晒した人のみ本物の芸術と言えるのだと私は信じている。
●武智 鉄二(歌舞伎研究家)
 舞台焦がす情念の炎。
●菅野 拓也(舞台評論家)
 女の重く悲しい歴史や生のはかなさを抽出。地を這い、転がり、のたうち回りながら2時間近くもソロを踊り続け、観客を押さえ込んでしまう腕力は、日本のダンサーでは稀有のものである。
●蘆原 英了(評論家)
 火を吹くような情熱と、哀愁のこもった、やるせなさを感じさせて心に残る。
●木村 隆(演劇ジャーナリスト)
 異様なエロティシズム、不思議な感動が五体をかける。
●扇田 昭彦(演劇評論家)
 あまりにも美しく激しいエネルギーの、うねりと爆発が私達の視線を協力にたぐりよせ、次から次へと感嘆の思いを誘い出す。これはもう限界の踊りだ。
●桜井 勤(舞台評論家)
 長嶺ヤス子は本質的にスパニッシュ・ダンサーである。しかもスペインの魂をもった稀有のダサーである。