作品プロット

 時■1868年(慶応4年・明治元年)
   淀千両松の敗戦後
場所■京・伏見−キャバレー京屋
   流山戦場


<鳥羽・伏見の戦い>

いつか『大名』に、あるいは『武士』になるべく修羅場をくぐってきた新選組も、鳥羽・伏見の戦いで敗戦。
新選組隊士達の屍と『誠』の隊旗も踏みにじられ、新式銃の前に刀槍の無力さを知る。
『もう撃つな!撃たないでくれ!』と絶叫し、崩れ落ちる近藤勇。

<京屋1>

敗軍、否、罪人として追われる新選組は、京屋に身を隠す。
京屋は、嘗ては敵、味方関係なく集える場であった。
隊士の気持ちとは裏腹に、近藤勇は剣をも捨て、このままこの京屋で働こうと言い出す。
新選組の再起を待ちながら、給仕として働く隊士達。
毎日、勝利の酒に酔いしれる薩長政府軍を後目に、耐え忍びながら給仕する新選組。
ある日、政府軍より京屋に罪人手配書が配られる。
『海援隊隊長・坂本龍馬、陸援隊隊長・中岡慎太郎を惨殺せし下手人・首謀者、人斬り集団、新選組局長・近藤勇。瓢亭の印のある下駄両足きちんとそろえてのこりし、瓢亭に問いあわせたるに、新選組の人に貸したるよし両下駄そろえし下手人、几帳面か、大胆か、間抜けか』
罪人の汚名に耐えかねて、再起を叫ぷ新選組隊士連に、無頓着にも『ふりいだむ』などと訳の分からぬことを口ずさみながら饅頭を配る近藤勇。
そんな隊士のなかで井上源三郎だけは、勇を信じ、血に染まってぼろぼろになった『誠』の隊旗の繕いをしていた。

<京屋2>

夜な夜な政府軍の暗殺に出かけていく斎藤一。
狼藉をみんなに悟られぬよう明るく振舞う沖田総司。
そんな総司をやさしく見守るお竹。
江戸城を守り戦うべく新選組を去っていく原田左之助。
原田を追うお梅。
給仕に徹しながら陰で木刀を振る永倉新八。
時の流れと措かれた立場を十分知りながらも、新選組の志「会津公と共に戦う」を貫こうとする土方歳三。
その土方を仇と狙う藤堂平助(油小路で惨殺された)の姉・お篠。
坂本龍鳥の思い出を語る京屋の女将・おこう。
鴨川の川原で、お静は(勇の幼なじみ)勇と行った多摩川の螢狩を回想する。
『もう戦になんか行ってほしくない、武州に逃げよう・・でも、逃げたら勝ちゃんは一生心が残ると思う。悲しいけど・・・しっかりして!泣き虫勝ちゃん』と、お静。

<京屋3>

その夜、薩長政府軍の宴会が京屋で開かれる。
今や、政府軍長州代表の桂小五郎も未だに逃げる癖が抜け切らない。また同じ政府軍薩摩の中村半次郎とも心の底では、禁門の変での敵対心が解け切らない。
酒に酔い、激論の中、女達に無体なことをしだす兵士達、止めるお静。その場には、井上源三郎しか居なかった。
抜刀する兵士。
お静を庇う源三郎は無惨にも斬られる。
そこへ駆け込んでくる勇と隊士達。
勇に斬りかかる兵士。
兵士の刀を奪い斬る勇。
『新選組局長、近藤勇。無腰の者を斬るとは卑怯な!』その声に圧倒され退いて行く政府軍。
一同、源三郎に駆け寄る。『みんな、ごめんな、こんな無駄死をして‥近藤さん、まだ繕い終わっちゃいねえが、これ・・』と、懐から隊旗を渡し息絶える。
隊旗は源三郎の血で染まっていた。
再起する新選組。
江戸への途中、政府軍に襲われ、お梅を死なせてしまった原田が戻ってくる。

<京都4>

新しい浅黄だんだらの羽織に戦支度の新選組は流山へと出陣する。
見送る女達。
その女達の中、土方を仇と狙うお篠・・・・・・
晴れ晴れとした隊士達。
だが総司は血を吐いてしまう。
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<流山戦場>

銃声の中、政府軍を斬り倒していく、斎藤、永倉、原田。
形勢不利に追い込まれていく新選組。
『会津へ!』と言葉を残し斬り抜けて行く、斎藤、永倉。
『俺は、もう一度江戸へ戻る』と原田。
銃声。
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