いとうせいこう奥泉 光

番外編「映画と文芸漫談のコラボレーション」
川端康成『伊豆の踊子』

作家・クリエーターとして活躍する“いとうせいこう”と、芥川賞作家であり大学教授の“奥泉光”による、耳馴染みのない『文芸漫談』なる公演を、下北沢の北沢タウンホールで年3回のシリーズで行われている。
今回はその番外編として、池袋の新文芸坐で『文芸漫談』+『映画』の2本立て公演を行う。
内容、構成はいたってシンプルで、文学作品を題材にし、笑いを盛り込み、二人で作品を語っていく、漫談形式のトークショーです。
同類のトークショーのように、作品への理解を与えることにこそ違いはないのですが、そこに、博学がユーモアをまとったような二人の『笑い』が入ることにより、お客さまの興味をより深いところまで誘い、“豊かな文学”になるのでは、との試みです。
今回の「伊豆の踊子」は、二十歳の主人公が孤独に悩み、伊豆へのひとり旅に出かける。そこで旅芸人の一団と出会い、踊り子に心を惹かれてゆく、美しく切ない青春の物語。
何だ、それなら知っているよ!と、言われる方も、二人の手にかかると、こんな読み方もあったのかと納得いただけるものと思いますよ!
また、今回はその後に映画の上演があります。小説とはまた違った映像という視点で描かれた作品もお楽しみ下さい。

  
※チラシをクリックすると大きいのが見られます

2010年7月16日(金)

文芸漫談●19:00開演
映画●20:45上映/22:30終演予定
料金■全自由席★前売・当日共 3,000円
(※整理券付きのチケットになります)

新文芸坐(エ 03-3971-9422)
豊島区東池袋1-43-5 マルハン池袋ビル3F
<アクセス>

チケット問合せ
新文芸坐(エ 03-3971-9422)

『伊豆の踊子』のあらすじ


【日活映画】監督:西河克己/出演:吉永小百合・高橋英樹・宇野重吉・他

大正の末、天城に向かう山道を行く一高生・川島は、旅芸人の一行に出会った。
一行は栄吉とその妻・千代子、千代子の母親ののぶ、雇い娘の百合子、そして太 鼓を背負った古風な髪型のよく似合う美しい少女の五人で、彼らは三味線や太鼓、そして唄や踊りで温泉場の料理屋や旅館の客を相手につつましい生計をたてて いた。かおるという名のその踊子は、下田まで川島と一緒に旅ができると知って喜んだ。湯ケ野について踊子と五目並べに興じていたある日、栄吉と風呂に入っ ていた川島は、向かいの共同風呂に入っていた踊子が裸のまま立ち上り、こちらに手を振るのを見てその無邪気な子供らしさに思わず頬笑んだ。
そんなある日、 踊子は山蔭の古小屋で、粗末な夜具にくるまって寝ている幼馴じみのおきみと再会した。酌婦をしていたおきみは客を取らされ、病気になった今は、厄病神あつ かいされて古小屋に追い払われていたのだった。浮世の汚れを知らぬ踊子には余りにも衝撃的な光景であった。
やがておきみの死を知ることなく湯ケ野を離れた 踊子一行は、川島と共に下田へ向かった。踊子は、道中ずっと生まれ故郷の甲府のことや、今住んでいる大島のことを川島に話して聞かせた。踊子のはずむよう な声が川島の胸に心地よく響いた。下田に着いて、明日は川島が東京へ帰るという日、川島との活動見物を楽しみにしていた踊子は、二人の仲を案じたのぶに止められて涙を呑んだ。
翌朝、川島が栄吉に送られて乗船場に近づくと、海辺に踊子の姿があった。つかの間の別れを告げ、川島の乗ったはしけが遠ざかり、大き く曲って岬のかげに隠れた。踊子は栄吉が止めるのも聞かずに走った。岬の突端へ出ると、巡航船に乗り移ろうとする川島の姿が見えた。思いきり手を振る踊 子。彼女に気づいた川島も、甲板の上から狂ったように手を振る。
船が動き出し次第に小さくなっていくかおるの姿。あふれる涙をぬぐいもせず手を振りつづけ ている。

<川端康成(かわばた やすなり)>
 (明治32年6月14日〜昭和47年4月16日)

小説家。大阪市北区此花町に生まれる。
16歳までに父母、姉、祖父母が相次いで亡くなり、孤児となる。
大正9年、東京帝大英文科に入学。翌年に発表した「招魂祭一景」により、文壇の注目を浴びる。
大正13年、横光利一らとともに「文芸時代」を創刊。新感覚派の主張を通じて、大正期の平板な写実主義からの脱却をはかった。ただし、「伊豆の踊子」(大正15)などに新感覚派の影響は見られず、やがて彼独自の地歩を築いていく。
戦中・戦後の態度は一貫しており、時局に背を向け、「雪国」(昭和10〜12)、「山の音」(昭和24〜29)など、日本美の伝統の世界を描き続けた。
昭和35年、老人文学の白眉といわれる「眠れる美女」を発表。
昭和43年、ノーベル文学賞を受賞。
昭和47年4月16日、ガス自殺。享年72歳。
代表作は「伊豆の踊子」、「雪国」、「千羽鶴」、「山の音」、「眠れる美女」など。