いとうせいこう×奥泉 光

後藤明生

『挟み撃ち』

日時■2009年1月24日(土)18:30開場/19:00開演
会場■北沢タウンホール
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作品梗概

『挟み撃ち』

あの旧陸軍の外套はどこに? 記憶をたどる男の一日に、現代人の不安な心象風景画が浮かぶ…。
20年前に北九州から上京した時に着ていた旧陸軍の外套の行方を求めて、昔の下宿先を訪ねる1日の間に、主人公の心中には、生まれ育った朝鮮北部で迎えた敗戦、九州の親の郷里への帰還、学生時代の下宿生活などが、脱線をくり返しながら次々に展開する。
他者との関係の中に自己存在の根拠を見出そうとする思考の運動を、独特の饒舌体で綴った傑作長篇。

ある夕方、橋の上で友人を待つ間に、「わたし」は自分の着ている外套からゴーゴリの『外套』を思い浮かべる。そして突然、20年前に母が用意してくれた旧陸軍歩兵の外套を着て上京したことを思い出す。行方不明の外套が気になった「わたし」は、ある朝早起きして大学時代の下宿先を訪れる。それからその外套を質種によく金を借りた質屋を訪ねる。外套を探して歩く1日の間に、ふとしたことがきっかけとなり北朝鮮で迎えた敗戦、九州の田舎町での生活、学生時代の下宿生活などが脈絡もなく思い出される。 例えば、映画館の切符売り場に置かれた目覚まし時計からは、学生時代に映画館前で兵隊に扮して映画の宣伝アルバイトをしたことを、そしてその映画の中で歌われていた軍歌に思いが及び、北朝鮮で迎えた敗戦を思い出すというように。また、九州で高校時代を共に過ごした友人を思い出すと彼に紹介された娼婦を思い浮かべ、その娼婦からは大学時代に時折出かけた東京下町の赤線地帯を思い出す、という風に脱線に脱線を重ねて回想が続く。
結局、訪ね歩いても外套の行方は知れず、外套にも九州の田舎町にもまったく無関係の友人と、あの外套を思い出した橋の上で待ち合わせをしているのだ。
※講談社版 日本語表紙より

●後藤明生(ゴトウメイセイ) <本名※明正(あきまさ)>
 1932年(昭和7年)〜1999年(平成11年)

朝鮮咸鏡道永興(現在の朝鮮民主主義人民共和国)生れ。
中学時代に終戦を迎え、福岡県に引き揚げる。早稲田大学露西亜文学科卒。
在学中から創作活動に入り、昭和30年「赤と黒の記憶」が全国学生小説コンクールに入選。
広告代理店、出版社勤務のかたわら同人誌等で活躍し、昭和42年「人間の病気」が芥川賞候補となる。
翌43年から文筆業に専念。昭和52年『夢かたり』で平林たい子文学賞、56年『吉野大夫』で谷崎潤一郎賞、平成2年『首塚の上のアドバルーン』で芸術選奨文部大臣賞を受賞している。
平成元年より近畿大学文芸学部教授、5年から同学部長を務める。
平成3年には大阪に移住。大阪府主催「山片蟠桃賞」審査員、「織田作之助賞」選考委員なども務めた。

著書に小説『笑い地獄』『挟み撃ち』『壁の中』『カフカの迷宮』『しんとく問答』等、エッセイ集『雨月物語紀行』『笑いの方法−あるいはニコライ・ゴーゴリ』(池田健太郎賞受賞)『小説−いかに読み、いかに書くか』『小説は何処からきたか』『小説の快楽』等。

 

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